カウンセリングで失敗してしまう本質的な5つの問題点

自分の悩みごとがなかなか離れず、少しココロが苦しく感じることが続いて、カウンセリングをいよいよ受けてみようかと考えます。
そして、よく考えないまま、とりあえずカウンセリングを何回か経験してみると、こう感じることがあるかもしれません。
- 「効果がない」
- 「時間とお金の無駄」
- 「カウンセリングが辛い」
- 「受ける意味がよくわからなくなってきた」
もちろんすべての方がこのように感じるわけではありません。しかし、ネットでカウンセリングのことをお調べいただいた方にはこのようなコメントが出ることにお気づきになると思います。
上のように、相談者が結局満足できていない状態になる要因は様々ですが、ここには「カウンセリングを受ける側の本質的な5つの問題点」が関係しています。
初めての方がカウンセリングで失敗してしまう5つ本質的な問題点
もくじ
あるカウンセリングを受ける側の本質的な問題点
その本質的な問題点とは、
「相談者がカウンセラーに求めるサービスとその提供方法が、対応しているカウンセラーのサービスとその提供方法にギャップがある」
ということです。
相談者とカウンセラーとの間にあるギャップには以下の相談者の多くが持っている5つの勘違いがあります。
カウンセラーはアドバイスと通して相談者の問題を解決してくれる
カウンセラーは「アドバイスをして」相談者の悩みを提供する人ではありません。
カウンセラーは相談者と対等な関係で、寄り添いながら悩みの軽減・解決できるようにサポートする人」です。
ですから、アドバイスや指示をクライアントにして目標達成を日々バックアップ・サポートするようなコーチングとは全く異なります。
相談には来ていますが、本質的な悩みの原因は相談者の心の中にあるため、相談者自身が積極的に自分と向き合っていく必要があります。
1回のカウンセリングで劇的に変化・改善を期待している
人は顕在意識(意識している部分)と潜在意識(自分は考えなくても思考や心に影響を与えている部分)があります。その比率は、顕在意識 3~10%、潜在意識 90~97%と言われています。つまり、人は思考や心の状態を全体の9割以上を潜在意識に影響されながら生活していることになります。
この潜在意識の中に含まれるものに以下があります。
- その人が培ってきた「価値観」
- 環境で培った「習慣」
- 環境によって刷り込まれた「感覚」
これらはその人のアイデンティティーとなるところでもあるため、脳は基本的に潜在意識を変えることを嫌います。
ですから、自分の頭では「思考や習慣を変えたい!!!!」と決意しても、潜在意識が相談者も知らないうちにその決意を弱めさせるような思考をするように働きかけて、なかなか人はすぐに変われないわけです。
それでもカウンセリングを通してポジティブな見方ができるようになったという報告もよくいただきます。短期期間では変わらないかもしれませんが、信頼できるカウンセラーからの提案に真摯に取り組んだら6カ月~1年くらいあっという間に過ぎるかもしれません。しかし、希望を持って何かに取り組んでる時というのは有意義ものです。
心理学はココロのすべてを解き明かしてくれる
仕組みさえ理解すれば、原因を特定し、改善に向けて一直線で行けると考えるかもしれません。
しかし、人のココロそのものがもともと数値で表すこともできませんし、言葉や数値ですべてを説明できるほど簡単な構造ではありません。心理学はあくまでも学問であり、一般的に起きる人の思考や行動からその心に起きている状態を検証したものです。同じ経験をしても家族内の立場によって感じ方が異なり、人の心の傾向はその経験の繰り返しによって形成されていきます。
カウンセリングとは、その人の心や思考の癖を紐解いていき、抱えている悩みの本質的な原因がどこにあるのかを相談者に理解できるように助けることです。
カウンセラーは相談者を自動的に状況改善に向けて引き上げてくれるものという期待
前述しましたが、カウンセラーは相談者と対等な立場で相手を評価しません。カウンセラーは相談者の思考の癖や心の癖がどんなものであるかを理解できるように助け、その観察に基づいて、日常的に取り組めるようなことを提案することはあります。
つまり、相談者自身が自分はどんな人間で、なぜこのような思考や心の受け止め方をするのかを“気づく(認める)”必要があります。そこは相談者自身が向き合って乗り越えなければいけない部分です。
ですから、カウンセリングを受けて自分のことを振り返って辛くなってしまうこともよくあります。しかし、それは自分を変えていく第一歩でもあります。それを乗り越えたいと思えるようにサポートしたり応援するのがカウンセラーの役割です。
悩みのレベルに応じた適切な対応者(カウンセラー / 精神科医 etc)を把握していない
性格改善、軽度のうつ病、対人恐怖症、重度のうつ病など、悩みの種類はさまざまです。うつ病と言ってもその症状によって、カウンセラー / 臨床心理士 / 公認心理師 / 精神科医の誰が対応すべきかを見分けることは必要なことです。
重度のうつ病の場合は、投薬治療が必要ですので医師である精神科医が必要になってきます。また性格改善や過去のトラウマなどであれば、カウンセラーでも対応できるかもしれません。いずれにせよ、それぞれに対応範囲が存在するため、それをカウンセリングを受ける前に把握しておくことは大切なことです。
なぜこれらが本質的な問題点なのか?

信頼なくしてカウンセリングなし
今ここで挙げた5つの勘違いがなぜ「本質的な」問題点になるんでしょうか?
それは、上の5つの勘違いのどれかがあると、
カウンセリング効果を出す上で最も必要な「カウンセラーとの信頼関係」を構築することが困難になるからです。
人は誰かに信頼されている、応援してもらえているという安心感があるだけで前向きに取り組むことができます。人として尊厳を持って扱われ、理解してくれる人、理解しようとしてくれる人がいるだけで人を大きな勇気をもらいます。
カウンセラーも相談者に対してできる限りのことを行いたいと思っていますが、相談者がカウンセラーに期待することが適正でない場合、結果として良いカウンセリングにならなくなってしまいます。